釣りをするひと






釣り竿を垂らしてみよう。

釣り糸は何がいいかしら。

釣り針は何がいいかしら。

餌は何にしたらいいだろう。














「そこの女子高生。暇ならお兄さんと一服しない、」

「わたしはおにいさんほどひまではないのでむりです」

「あらあら、棒読み。それじゃあお茶しませんか、」

「しつこい男は嫌われるよ」

「君はお兄さんの事嫌い、」

「…」

「お兄さんの名前は原さんと言います。宜しく」

「それぢゃあ原さん、ご機嫌よう」










あらあら竿が悪かったみたい。












「君の名前は何ですか」

「教えるつもりは全くないです」

「ぜろぱーせんとですか」

「そう。だから他をあたって」

「いやあ、それじゃ意味ないし」

「…」

「君じゃなきゃ意味ないし」

「…さよなら、原さん」












釣り糸を変えてみたのだけれど。
気に入ってくれたかな。











「原です。こんにちは」

「…誰かと思った」

「本日は営業用で御座います。スーツも似合うでしょう」

「年取ったら似合うものだし」

「其れはぐさりとくるね。痛い話だ」

「何の営業なの」

「君の名前を聞き出すという任務に就いております」

「…高嶋。今日のお仕事は終わりみたいだね」

「はい、そのようで」

「じゃあね、原さん」










釣り針は此れで行こう。
それともいいポイントを見つけちゃったかしら。










「高嶋君、今日はデートに誘いに来たんだけど」

「…スーツ姿で何処に行くっていうの、」

「それじゃあ途中で着替えるよ。君の気が済むように」

「身長あるから何でも着こなせそう」

「君が選んでくれたものなら何でも着こなそう」

「…変な原さん。…、ねえ」

「何でしょう、」

「………名前、何て言うの」

「秘密です。夏姫さん」

「…は、」

「それじゃあ何処に行こうか、高嶋夏姫さん」

「………名前、」

「只待ってるというのもなかなか暇でして」

「あなたの名前!」

「暇なわたくしにつき合って頂けたら教えましょう」










食いつきは上々。
後はつり上げて手なずけるだけ。











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